- 経営再建中の米保険大手AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が、再建計画の方針転換を明確に打ち出した。金融市場を取り巻く環境の好転や、公的資金の返済条件の緩和から、傘下にある日本事業のAIGエジソン生命保険とAIGスター生命保険の売却中止を決定。日本での事業展開に再び力を入れる姿勢を示している。ただ、両社の売却計画公表による混乱は収束しておらず、先行きは不透明だ。
AIGエジソン生命とAIGスター生命は、凍結していた両社合併を再開する予定はないという。売却交渉の難航を受け、両社は別々に新商品開発や営業キャンペーンなど、単独での経営体制を強化してきた経緯があるからだ。
今後は、名刺やホームページから外した「AIG」の文字の再掲も検討する。売却中止という方向性がはっきりしたことを受けて、売り控えが相次いだ銀行窓口での保険販売の再開も働きかけていく。
とはいえ「結果的に振り回された」(AIGエジソン、スター関係者)との思いは消えない。今年1月、合併を凍結しただけでなく、銀行窓販の保険商品は、銀行側の売り控えによりほぼゼロ。08年度の新契約高はエジソン生命で前年同期比19%減、スター生命で同14・4%減となったほか、解約も増加している。厳しい環境の中での再スタートとなりそうだ。
国内で外資最大手の保険会社アリコジャパンも、依然として先行きが見えない。米政府は米アリコの優先株を保有しており、今後は株式上場か売却かを選択することになる。売却については高額な価格設定が足かせになっているとされるが、8月に就任したロバート・ベンモシェCEO(最高経営責任者)は売却案件について「納得できる価格でなければ急ぐ必要はない」と海外メディアのインタビューで発言。売却を見送り、単独での生き残りを選択する可能性もでてきた。
1800億ドル(約16兆2000億円)もの公的資金返済に向け、損保事業を含めた日本事業戦略の見直しに出る可能性もある。AIGが株式の41%を保有する富士火災海上保険は、AIGが100%保有するAIU保険とアメリカンホーム保険両社との提携関係を強めている。こうした動きに対して「AIGが将来、株式保有比率を高めるのでは」との観測が流れており、富士火災が完全にAIG傘下に入る可能性も出てきた。
日本での事業縮小に乗り出したはずのAIGが、巻き返しに向け舵を大きく切るかもしれない。(滝川麻衣子)
AIG、子会社売却中止 縮小路線一転、日本戦略見直し(Yahoo!ニュースより)
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