- ある大手生命保険会社のトップセールス5人にインタビューする機会がありました。一般的な営業の秘けつについてさまざまな分析がされていますが、私が今回発見したポイントは大きく2つありました。
1.最大のハードルは担当企業で居場所を作ること
2.断られる恐怖を乗り越えること
ご存じの通り、生保営業担当には女性が多く、担当企業先で勧誘を行うトラディッショナルな営業形態が依然として多いようです。一昔前ならオフィス内で昼休みにあめやうちわなどを配りながら「保険入ってます?」なんて光景が見られましたが、最近はセキュリティーが厳しくなり、良くてフロアのエレベーター前、下手するとオフィスビルのロビーまでしか入れません。
そんな状況で担当企業の社員に声をかけるのは結構勇気が必要です。大学を出たばかり、あるいは転職したばかりの女性社員なら余計そうでしょう。声をかけようにもかけられず、下を向いて立っているほど辛いことはないそうです。そんな自分がみじめになり、やる気が削がれて行く……。
そこで生保各社はくじ引きとか、アンケートとか、声をかけるための武器を色々用意します。ところが、声をかけても無視して通り過ぎる人の多いこと……。「私ってそんなに悪いことをしているの?」「私がしていることってそんなに価値がないの?」、真面目な新人ほど悩んでしまいます。
あるトップセールスの見解。
「実はエレベーター前の方が楽なのよ。オフィス内に入れる場合はこちらからアプローチする必要があるでしょ、でもエレベーター前だと向こうから来てくれるから無理がないのよ」
ものは考えようです。
「人って口に出さなくても結構見ていて、毎日顔を合わせていると絶対情がわくの。こちらがあいさつをし続ければ1カ月くらいであいさつを返してくれるんだけど、そこまで我慢が持たない人が多いのよね。持てば殻がむけるんだけど」
筆者なんか到底持たないでしょう。
居場所って何でしょう? 役割があること、いや、もっと単純に言うと、存在を認知してもらえることではないでしょうか。
もう1人のトップセールスの努力には脱帽しました。
「新人のころお昼の時間しか客先に行けなかったんです。声をかけようにも一斉に社員が出てくるのでタイミングがつかめず、すごく苦労しました。
会社にいても仕事にならないのである日の夕方、客先に行ったら、大勢の帰宅途中の社員とすれ違ったんです。それから毎日夕方行くようにしたらある日、昨夜道にいたね、と向こうから声をかけてもらったんです。それからは明るい街燈の下に立って、もっと目立つようにしたんですよ」
誰かが見ていてくれたことが彼女の殻を破ってくれたのでしょう。
男女ともに80%(生命保険文化センター調べ)と、生保の加入率が異常に高いわが国では保険の新規開拓の余地は少なく、見直し需要がほとんどです。そのタイミングは人によってまちまち。「誰かに聞いてみようかな」と思う時の「誰か」になるために日々顔を売っているようなものです。
仮に保険の見直しをしたい人が出てきたとすると、待ちに待った提案の機会です。しかし、多くの営業担当はここでどちらかの罠にはまります。一方的にまくしたて、決断を迫る。あるいは断られるのが怖く、「お願いします」の一言が言えない。買う方からすれば、納得さえすれば自然と判子は押すものなのですが。
居場所がある喜びとない悲しさ。声をかける恐怖、断られる恐怖。これらの感情を乗り越える、または殻を破るのは自分ですが、周りは手伝いをどれくらいしているでしょう。
営業担当であれば、業界や商品が違っても似たような経験はあるのではないでしょうか。成熟産業ならなおさらそうでしょう。
今日もうちのオフィスに求人広告の新人営業マンが来ていました。うちには現状採用ニーズはないけれど、「がんばれよ、めげるなよ」と心の中で応援してしまいました。(横井真人)
トップ生保レディーの営業術(Yahoo!ニュースより)
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